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コラム

フォトグラファーへの道 vol.2

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写真の専門学校ってどんなところ?

「50人撮り」が終わると、学校ではカメラの使い方から始まり、スタジオの授業や暗室の授業、スナップ写真の授業などがありましたが、やればやるほど徐々に写真の難しさが分かってきました。

そんな中でも明らかにセンスが違う人たちがいました。私が思いつかないようなアングルから撮ってきたり、わざとブレて撮ったり、人と視点が違うのです。

私は自分のセンスのなさにどんどん凹んでいきます。そしてフィルムの時代だったため、撮れば撮るほどお金が底を尽きていく日々。
週に1度、先生に写真を講評してもらう授業があったのですが

「そもそもセンスがないよね」

分かってはいましたが、先生に言われたことでとどめを刺された気がしました。
そう言われてから、写真学生だったのに約2か月写真を撮りませんでした。酷評されることが怖くて撮れなくなってしまったのです。

お金もない、やる気もないからの逆転

意気込んでカメラマンになることを決めて入学したものの、半年ほどで意気消沈した私は、ただ学校に通う学生でした。写真学生は半分は写真で食っていこうと野心に溢れた人たち、あとの半分は僕と同じで酷評されてやる気のない人たちに別れていきます。

そんな中やる気がなくなった私は、いつも電車から見える、地方競馬の笠松競馬場にふと入りました。なんとなくずっと気になっていたのです。
競馬場なんて入ったこともなかったのですが、そこには僕にとっては、とてつもなく面白い世界が広がっていました。

「なんだこの世界観は!?」

人生競馬に賭けているような人、前歯が2本抜けている人、何しゃべってるかわからないけどずっと叫んでいる人、予想師さん、競争馬、騎手、競馬新聞などすべてが新鮮でした。なんだか分からないけど昭和感が満載で、時代が止まっているような感覚になりました。

生まれて初めて「この場所を撮りたい」と思えました。

そこからすべての点と点が繋がっていきます。

そもそもテーマがないと写真って撮りにくいのです。テーマがない写真は「これは何が撮りたいの?」と聞かれてしまい、答えに困ります。「感じたまま撮る」って聞こえがいいですが、良い写真には必ずテーマがあります。私の写真にはずっとテーマがなかったのです。だから酷評され続けていました。

そこから笠松競馬場に通い始めます。
厩務員さんを撮りたいけどなんて声を掛けたらいいかわからない、会話が続かない。そもそも馬のことなんてまったく知らないのですから。
だから必死に競馬の勉強をして、競馬場関係者と日常的に競馬について話せる知識を付けました。すると自分に自信がついきて、人に声をかけられるようになりました。50人撮りの時は写真が撮れないのではなく、自分に知識がなくて会話ができなかったんだと理解しました。

笠松競馬がもたらしたもの

そこから写真を見せることが楽しくなりました。テーマがあると相手に伝わるものなのです。

競馬場にはいろいろな要素がありました。
動きがある競走馬を撮るのはスポーツ写真、観客や厩舎の人を撮るのはポートレート、競馬場自体を撮るのは風景写真と。特に調教は季節に関係なく朝の4時~5時頃行われますから、朝焼けと競走馬と影が美しく、光を見る訓練にもなりました。笠松競馬は全国で唯一、馬が堤防を横断するという特殊な環境でしたので、それがとても面白かったです。

結果、卒業後、笠松競馬場内で小さいながら写真展をやらせてもらうことができました。

「豊富な知識がピンチを救う」

というヤクルトの野村監督の言葉がありますが、その通りだと思います。

仲良くなりたい人がいたなら、その人の興味がありそうなことを調べ、会話できるように勉強すればいい。それを身をもって学んだのも笠松競馬場でした。

>>vol.3へ続く